かわって守護月天!

それはある日の夕方だった。
「太助様、小包が届いてますわ」
「誰からだろ・・・げっ!これは!」
それは父、太郎助からだった。
「父さんの贈り物は必ず何かある!
支天輪、黒天筒、短天扇、魔神のランプに縁結びのひも・・・今度は何だよ!」
恐る恐る開けてみると、そこには
「・・・・指輪?」
きらきらと輝く二つの指輪が入っていた。
「へぇ・・・・今回はまともそうじゃん」
太助は二つの指輪を手にとった。
(今、ルーアンもキリュウも留守だ・・・よし!)
「俺つけてみよっと」
太助は指輪をはめた。
「シャオもつけてみるか?」
「いいんですか?」
「あ、ああ。手を出してみな」
「はい」
「いや、その・・・左手を」
太助はシャオの左手の薬指にもう一つの指輪をはめた。
(いい・・・まるで結婚指輪みたいじゃないか・・・)
と、太助が幸福に浸り始めたその時!

ピカァァァァァァァッ!

二つの指輪から光が放たれた!
「きゃあっ!」
「なんだっ!?」

「うーん・・・」
「大丈夫ですか、太助様?」
「ああ、俺は大丈夫・・・・」
太助は我が目を疑った。自分自身が目の前にいた。
「あら?私にそっくりですわ」
目の前のもう一人の太助はそう言った。どうなってるんだと思い、太助は自分の姿を確認した。
俺の手こんなに細かったっけ・・・それになんか胸もふくらんで・・・・
「まさか!!」
太助は、洗面所に行って鏡を見た。そこに映ったのは、シャオの姿だった。
「俺が・・・シャオになってる!?」

(太助、今回の二つの指輪はな、はめた者どうしの心が入れ替わるというすごい代物だ!
なかなかきれいだろ?彼女でもできたらプレゼントしてやれ!)
父からの手紙を読んだ太助(外見はシャオ)は愕然としていた。
「一瞬でもあの親父を信用した俺がバカだった・・・」
と、そこへシャオ(外見は太助)が話しかけてきた。
「どうしましょう、太助様」
「うーん」
指輪はとっくに外したが元に戻らない。手紙にも戻る方法は書いていない。
「どうしよう・・・」
と、そこへ
「たー様ただいまぁ」
「主殿、今帰ったぞ」
ルーアンとキリュウが帰ってきた。
「やばい!こんなこと知られたらえらい騒ぎに・・・
シャオ!とりあえず俺のふりしてくれ!なんとかごまかすんだ!」
「は、はい」
(待てよ。俺もシャオのふりしなきゃいけないのか・・・?)
その時、部屋に入ってきたルーアンがシャオに抱きついてきた。もう一度いうが外見は太助である。
「たー様ぁ。ルーアンいなくて寂しくなかった?」
(わーっ!いきなり何するんだ!)
太助は心の中で悲鳴をあげる。
「ち、ちょっと、ルーアンさん・・・」
「たー様ぁ、今更さんづけなんて何あらたまってんのよ。ルーちゃんって呼んでもいいのよぉ」
(よかった、気づいてない・・・)
すると今度はキリュウがどっかで買ってきたビー玉をシャオに投げつけた。
しつこいようだが外見は太助である。
「主殿、試練だ。万象大乱」
巨大化したビー玉がシャオに当たる寸前
「危ないっ!!」
どごぉぉぉぉん!!
太助がかばって代わりに当たった。キリュウにはシャオが太助をかばったようにしか見えないが。
「シャオ殿?」
「あ・・・その、いきなりだったんでびっくりして・・・つい」
平然と立ち上がる太助。さすが、ふだんから鍛えられてるだけある。
「それよりさぁ、シャオリン。あたしおなか空いたわ。ごはん作ってよぉ」
「は、はい」(なにぃぃぃぃ!俺が作るのか!?)
一人暮らしの長かった太助。家事はそこそこできるだろうが、シャオほどの料理の腕前は太助にはない。
(どうしよう・・・)
とりあえず台所に入るが何もできないでいる。と、そこへ
「太助様、手伝いましょうか?」
シャオが話しかけてきた。気づかれないよう小声だ。
「頼むよシャオ。俺じゃどうにも・・・」
と、太助も小声で返事を返した瞬間
「たー様!シャオリンと二人でなにしようとしてんの!?」
「え・・・いや・・その・・・」
いきなりのルーアン乱入に動揺するシャオ。
(まずい!なんとかフォローしないと)
なんとしてもシャオの助けが欲しい太助がとった策は・・・
「ル、ルーアンさん。おまんじゅうが棚の中にありますけど・・・」
「何っ!!どこどこ!!あったぁ!!キリュウー!!ちょっとこれおっきくしてぇー!!」
ルーアンは二人を邪魔するのも忘れて、おまんじゅうを持って去っていった。
「助かった・・・」

結局二人で料理することになった。二人は小声で会話する。
「・・・すみません。さっきはかばってもらって・・・」
「いいって。慣れてるよ。シャオこそ料理の手伝いサンキュ」
「でも私嬉しいです。こうして太助様と一緒に料理できるなんて」
そう言うシャオの顔は幸せそうだった。

その夜、太助はシャオの部屋で寝ることになった。
「シャオのふとん・・・ああああ!眠れない!」

もちろんシャオは太助のベッドで。
「太助様のベッド・・・・暖かい・・・・なんだか太助様がそばにいるみたい・・・」

次の日の朝、太助はシャオのふとんで目覚めた。
「目覚めたら戻ってるかもなんて甘かったな・・・」
太助はシャオの姿のままだった。
「今日は学校だ・・・どうしよう」
と、途方に暮れながら時計を見てみると、
「しまった!もうこんな時間!」
太助は急いで着替えようとしたがすぐにあることに気づいた。
「女子の制服を着るのか・・・・しかもシャオの・・・」
しかたなく制服に袖を通す太助。恥ずかしさで顔が真っ赤であるが。
着替えが終わり、台所に向かうと他の三人がすでに朝食を食べ始めていた。
「え・・・だれが作ったの・・・」
「シャオリン遅いわよぉ。今日はね、たー様が朝御飯作ったのよ!おいしーわよ」
「主殿に料理の才能があったとは意外だな。シャオ殿といい勝負だぞ」
「はぁ・・・そうですか・・・」(そりゃそうだ。シャオなんだから)

学校へやってきた太助達。太助が教室のシャオの席に座るやいなや
「シャオちゃぁぁぁぁん」
(来た・・・)
たかしだ。と、そこへさらに
「シャオさん、おはようございます。
ああ、朝一番に見るシャオさんの姿は、私の心にうるおいを与えてくれます」
(こいつも来た・・・)
宮内出雲である。二人は相手が太助とも知らず、真剣に口説き始める。
「シャオちゃん!今話題の映画<歌う大捜査線>のチケットが手に入ったんだ。
今度俺と一緒に見に行かないかい?」
「シャオさん、今晩食事にでもいかがですか。いい店知ってるんですよ」
太助は心底嫌そうだ。そりゃそうだろう。男に言い寄られても・・・。
(えーと、こういう時シャオなら・・・)
どう答えるか、考えた末出た言葉は
「まぁ、素敵。太助様にも教えなきゃ」
「「いや、そうじゃなくて」」
思わず声がハモる二人を無視して、太助はシャオの方を向いた。そこには
「七梨せんぱーい」
(うう・・・あっちもか)
愛原花織だ。こちらも相手がシャオと知らずに話しかける。
「先輩、あたし<ロケモン>買ったんですよ。今晩遊びに行っていいですか?モンスター交換しましょ」
「もんスターってどんな星なの?」
ぽけぽけな反応のシャオにあわてて太助がフォローをいれる。
「た、太助様!<ロケモン>ってのは<ロケットモンスター>のことで、
モンスターはその中に出てくる生き物なんです!」
「・・・よく知ってますね。シャオ先輩」
ギクッ!!
「ま、いっか。じゃああたし授業あるんでまた後で」
そう言って花織は教室から去っていった。
(ふぅ、危ない・・・)
と、そこへ
「おはよっ。シャオ」
「山野・・・・じゃなくて翔子さん」
山野辺翔子が話しかけてきた。
「なあ、知ってるか。昼休みの間、屋上でずっと二人っきりになったらその二人は幸せになれるんだ!」
「そ、そうなんだ・・・」(山野辺・・・いつもそうやってウソついてんのか・・・)
もちろんシャオと太助を二人っきりにしようという翔子の作戦なのだが。

(とにかく今日はできるだけシャオの近くにいよう。いつでもフォローを入れられるようにしないと)
授業中、太助は今日を乗り切る方法を考えていた。
(いつまたあのポケポケを出されるかわかんないからな・・・目が離せないな)
「守護月天!聞いてるのか?」
(あっ、俺の事だ)「は、はいっ!」
「この問題を解いてくれ。珍しいな。お前がぼーっとしてるなんて」
「すみません・・・」(あっぶねー)

休み時間、
太助はシャオに近づいた。はた目にはシャオが太助に近づいたように見えるが。
「あの、太助様、ご一緒してよろしいですか」
「う・・・うん」
「え、ちょっと七梨せんぱーい!」
太助は再び現れた花織を振り切り、なんとかシャオに近づこうとした。

音楽の時間
「はーい、じゃあそこの席に適当に座って」
「よっしゃー!シャオちゃん、隣いいかな・・・ってちょっと?」
「太助様、隣よろしいですか?」
はりきるたかしを無視して太助はシャオの隣の席に座った。

体育の時間
「今日はテニスだ。誰かとダブルス組んでくれ」
「シャオさん、ここは私と・・・ってあれ?」
「太助様、一緒にやりましょ」
わざわざ授業に来た出雲を受け流し、太助はシャオとチームを組んだ。

とにかく太助はシャオと一緒にいるようにした。
太助、だんだんシャオのふりがうまくなってきてるぞ(笑)。


そして昼休み
「たー様ぁ。一緒にごはんたべましょー」
「太助なら・・・シャオちゃんにつれられてどっか行ったけど・・・」
「なんですってぇぇぇぇぇぇぇ!!」

太助とシャオは屋上にいた。他には誰もいない。
「太助様、どうしたんですか。こんなところへ連れてきて」
「ずっとシャオのふりしてるのは大変なんだ。シャオも俺のふりするの大変だろ?
ここなら誰もいない。ちょっと休もうぜ」
二人は壁にもたれて一息ついていた。
「早く元に戻んないとな。いつまでも隠し通せるとは思えない」
困った表情の太助だが、シャオはちょっと嬉しそうだ。
「・・・どうしたんだ、シャオ?」
「こうして太助様と一緒にいることが嬉しくて・・・今日はずっと一緒で楽しかったです」
「え・・・・」
そういえば今日はずっとシャオの近くにいた。
この状態で一人にするわけにいかないと思ってのこととはいえ、
普段の自分では出来ないことをしていることに気づいた。
(よ・・よし。こうなったら)
そう思って太助は顔を真っ赤にしながら自分の姿をしたシャオの手をにぎった。
「太助様・・・・?」
「しばらくこのままでいていいかな・・・・?」
二人は手をつないだまま黙っていた。太助は今朝翔子が言ったウソを思い出していた。
(昼休みの間、屋上でずっと二人っきりになったらその二人は幸せになれるんだ!)
「意外と当たってるのかもな・・・・」
ここに来たのは、人目のつかない所で休むためで、決して翔子のウソを信じたわけではないのだが、
太助は今この時間、確かに幸せだった。
「・・・・・これで心が入れ替わってなけりゃ最高なんだけど」
と、太助がつぶやいたその時!
「見つけたわよ、たー様!」
「げげっ!ルーアン!・・・・さん」
あわててシャオのふりをする太助。
「シャオリン!あなた自らたー様をここに連れ込んだらしいじゃない!
たー様を独り占めしようたって、そうはいかないわよ!いけぇっ、陽天心軍団!」
ルーアンがそう叫ぶとその後ろから陽天心をかけられたほうきやらモップやらが大量に押し寄せてきた!
そしてそれはシャオの姿をした太助に向かっていく。
「危ないっ!!」
どごぉぉぉぉぉぉん!!
太助の姿をしたシャオがかばって陽天心の攻撃を受け、その衝撃でふっとんでしまった。
「たー様!?」
「まずいっ!あのままでは落ちる!!」
太助はシャオがふっとんだ方向へと駆けていった。

シャオは屋上の壁の端になんとかつかまっていた。が、落ちるのも時間の問題だ。
「シャオ!今助けるぞ!」
太助はシャオのふりするのも忘れて、シャオの手をつかむ。
「う、うーん・・・」
必死に引き上げようとするがあまり力が入らない。体がシャオであるせいだろうか。
「離して下さい太助様!このままでは太助様まで落ちてしまいます!」
「だめだ!そんなことはできない!大丈夫、必ず助ける!」
「太助様・・・」
「シャオは・・・俺が守るんだぁぁぁぁっ!!」
しかしその時太助の足がすべり二人は屋上から落下し始めた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「太助様っ!!」

「う、うーん・・・」
「たー様大丈夫!?よかった無事で・・・」
「俺は助かったのか?」
「そうよ。高飛び用のマットに陽天心かけてね、急いで受けとめる用意したのよ。
どう?ルーアンえらいでしょ」
「ふっとばしたのはルーアンだろ・・・」
「えっ、いや、まさかあそこでたー様が出てくるとは思わなかったから。
もうっ、シャオリンをかばったりするから」
「そういえばシャオは!?」
「そこでまだ気絶してるわよ」
太助がそこに目をやるとシャオが倒れていた。とりあえず無事のようだが・・・・・ん!?
太助は自分の姿を確認した。見覚えのある体。この手も足もみんな自分のものだ。
「元に戻ってる!おい、シャオ起きろ!元に戻ってるぞ!」
太助はシャオを起こそうとシャオの体を揺り動かした。
「な、何言ってんの、たー様?」

そのころ中国にいる父、太郎助は
「しまった。この前送った指輪につけた手紙、元に戻る方法書くの忘れたな。
えーと、確か、二人がお互いの気持ちになって助け合えば戻るんだったかな?」

翌朝、目の覚めた太助は一階へと降りてきた。
「おっ。シャオおはよう。けが大丈夫か」
「はい。軽いけがですみましたから。太助様こそ・・・」
「ああ。俺も大丈夫だよ。」
二人の間に暖かい雰囲気が流れた。今回の事件で二人の絆は深まった。
「・・・二人だけの秘密だな」
「はい」
すっかりいいムードになってきたその時!

ピカァァァァァァァッ!

どこからかまぶしい光が。
「太助様・・・・今のは・・・・」
シャオがそう言った瞬間、ルーアンとキリュウが大慌てで台所に入ってきた。
「ちょっとたー様!どうなってんの?きれーな指輪見つけたんではめてみたら、こんな姿に!」
「主殿。ルーアン殿に誘われて私も指輪をはめてみたら・・・・こんなことに・・・・」
上からキリュウ、ルーアンのせりふである。
キリュウは妙に血の気が多く、ルーアンは恥ずかしさで顔が真っ赤になっている。
「二人ともそのしゃべり方・・・・・まさか!?」

おしまい


あとがき
今回はほのぼのとした話にしたかったのですが・・・・・難しいです。
二人が入れ替わるので、どっちがどっちかわからなくなったことも。
できるかぎりわかりやすくしたつもりですが
これでもわからぬようなら、それは申し訳ないというしかありません。
コンセプトは二人を長い時間一緒にいさせることでした。それがでてればいいんだけど。
こんな話でも感想をくれるとうれしいです。次のを書く力になりますから。


back
TopPage